診療案内
●アトピー性皮膚炎
アトピー体質とは皮膚のバリア機能の異常と免疫の過剰反応によって乾燥しがちで
湿疹ができやすい肌質の方をいいます。このような体質の方はストレスや発汗、
体調不良など様々な原因で湿疹が拡大・悪化し長期に渡り治りにくいのが特徴です。
現在はステロイド外用薬以外にも免疫抑制剤の外用薬という治療薬があり、治療の
選択肢が広がっています。
2018年に発売になった自己注射(デュピクセント)治療にも対応致します。
詳しくは support-allergy.com を参照下さい。
●蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹は、皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくする
と跡かたなく消えてしまう病気です。
大抵は痒みを伴いますが、チクチクとした痒みに似た感じや焼けるような感じを伴う
こともあります。個々の皮疹(ブツブツや赤み)は数十分から数時間以内に消えるの
が普通ですが、中には半日から1日くらいまで続くものもあります。症状が激しい場合
には次々と新しい皮疹が出没し、常に皮疹が現れているように見えることもあります。
膨疹(皮膚の盛り上がり)の大きさは1~2mm程度のものから手足全体位のものまで
様々で、また一つ一つの膨疹が融合して体表のほとんどが覆われてしまうこともあります。
抗アレルギー薬の内服で治療します。
●ニキビ・ニキビ痕
ニキビとは、毛穴が詰まることにより発生する皮膚のトラブルです。
毛穴が詰まる要因は毛穴周囲皮膚の角化異常で毛包周囲の角層が厚くなることです。
思春期は成長ホルモン、思春期以降はストレス・過労・ホルモンバランスの崩れなど
により、皮脂分泌が過剰になることも毛穴が詰まる一因です。
ニキビが出来やすい方(ニキビ肌の方)は体質的に毛穴周囲の角化異常になりやすい
傾向にあります。毛穴に皮脂が詰まるとアクネ菌が増殖し炎症を引き起こします。
肌の新陳代謝(ターンオーバー)が滞っているとより炎症を引き起こしやすく、ニキビ
が長引きやすくなります。
ニキビが強い炎症を起こして長引くと、ニキビ痕(ニキビ跡)となり、保険適応内では
治療ができなくなります。
ニキビがどの段階かにより治療方法が異なるため、医師の診断のもと適切な治療をお受け
ください。一部保険外になりますがニキビ跡の治療薬もあります。
●水虫
水虫は白癬菌(皮膚糸状菌)という真菌(カビ)が皮膚に感染することで発症します。
菌の感染部位により、足白癬、爪白癬、体部白癬、股部白癬と呼ばれます。
足白癬は、足の指の間、足の指の付け根や足の裏・フチ、かかとに症状が出るものが
あります。足の指の間に症状が出ることが最も多く、皮膚が白くふやけて皮がむけ、
むず痒いことが多いです。ただれてジュクジュクする状態になることもあります。また、
皮が薄くむけて赤くなったり皮膚に亀裂が入ったりする乾燥型の場合もあります。
指の付け根や足の裏・フチなどに水ぶくれができる場合は、初期では目立たないことも
あるくらいの小さな水疱ですが、大きくなったり赤く腫れあがって痒みがひどくなること
もあります。足の裏全体やかかとに感染した場合は、痒みや目立った症状がないことが
多いですが、粉をふいたような状態でカサカサします。
爪白癬は、爪が白色や褐色に濁り、もろくポロポロと崩れやすくなります。
白癬菌(皮膚糸状菌)は、ケラチンという蛋白を栄養源に生きているカビですので、
ケラチンが多く存在する場所であればどこにでも感染するため、体部や股部など様々な
部位に感染して皮膚の表面に病変を作ります。
検査の際には、白癬菌が寄生している部位をメスやハサミでとって、顕微鏡で観察します。
足白癬の感染経路はジムや温泉の浴室マットが多く疑われます。
付着した菌が皮膚に定着するには24時間以上かかるので、外で入浴した後は自宅で足を洗う
ようにしましょう。
家族に保菌者がいる場合、マットやスリッパの共用を避けましょう。
●帯状疱疹
子供の時にかかった水疱瘡ウイルスの再活性化により、一部の神経の支配領域に水疱ができ
辛い神経痛を伴います。
発症後すみやかに治療を始めないと帯状疱疹後神経痛などの後遺症が起こりやすくなります。
●ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによる感染症で、口唇や性器の他、体のどこにでもできます。一度発症
するとその後も免疫力の低下時などに繰り返し再発します。
発症3日以内の治療スタートで軽く早く治せます。
●いぼ
皮膚のデキモノのうち、ある程度小さくて突起したものを一般にいぼと呼んでいます。
いぼは、ウイルス感染が原因のもの、体質や加齢でできるものに大別できます。
液体窒素や外用薬で治療します。
●隆起したほくろ
一般的にほくろと呼ばれているものの多くは皮膚科的に色素性母斑という良性腫瘍です。
ほくろから毛が生えたり、表面が凸凹することもあり、頭皮にできる色のないほくろもあります。
極めてまれではありますが、メラノーマ、基底細胞癌などの悪性腫瘍の可能性もあります。
ダーモスコープという専用器具を用いて、悪性と良性をある程度まで見分けることができます。
色素がありほくろに見えるものでも、いぼや脂漏性角化症の場合もあります。
●シミ・痣(あざ)
通常、シミは紫外線を浴びて大きなダメージを受けた時に、肌を守るためにメラニン色素が
生成され、それが表皮の肌細胞に沈着することによりシミができます。
保険適応で治療できるシミ・痣(あざ)は、生まれつきや遺伝、ストレス、間違った肌のケア、
加齢などです。
シミ・痣(あざ)はできる場所や色や形により、種類が異なり、治療も様々です。
自己判断によるケアで悪化させてしまうこともあります。
●赤ら顔・毛細血管拡張
毛細血管は通常皮膚の表面には見えません。ところが何らかの原因により毛細血管が拡張し、
皮膚表面に近い組織中に血液が滞り赤く見えることがあります。
血管拡張の原因は大きく分けて①血管周囲の神経によるもの ②血管そのものの異常によるもの
があります。
神経が原因のものは、寒暖の差で赤くなる、緊張で顔が赤くなる、などがあります。これらは
自律神経が過敏に反応することにより起こる現象であり、皮膚科的な治療は困難です。
血管そのものの異常によるものは、拡張した状態が元に戻らなくなります。時に隆起することも
あります。
毛細血管拡張には、一本一本の血管が確認できない淡い発赤があるタイプや、赤色や青色の細い
血管が線状やクモ状にあるタイプや、わずかに隆起した小さい紅色丘疹状のタイプのものなど、
様々なものがあります。
赤ら顔と思っていても、脂漏性皮膚炎やほてり感がある酒さの場合もあります。
状態により治療法が異なりますので、自己判断せずにまずは皮膚科にご相談ください。
●うおのめ・たこ
うおのめやたこは、足の特定の場所に継続的に圧力がかかって発症します。
たこは皮膚の表面の角質が部分的に肥厚したもので、痛みません。
うおのめは肥厚した部分にさらに圧がかかり硬くなり、芯をもっているため、歩くたびに刺激
されて痛みがあります。また、足の裏によくできるのが足底疣贅(そくていゆうぜい)という
いぼです。これをうおのめと勘違いすることがあります。
このいぼはウィルス性の腫瘍のため、知らずに削って広がることもあります。この鑑別をきちんと
するためにも、皮膚科の受診をおすすめします。
●巻き爪
巻き爪は靴による圧迫等で、爪がだんだん変形し皮膚に食い込み、痛みや炎症を起こすものです。
炎症の治療や刺さった爪の切除、ワイヤーによる巻き爪の矯正などで改善します。
●虫刺され
虫刺されは昆虫の刺咬、吸血あるいは接触により生じる皮膚炎をいいます。
種類
○蜂刺症:毒による強い痛みと腫脹、まれにアナフィラキシーショックを起こします。
○蚊・ダニ咬症:吸血する時にプロテアーゼを皮膚に注入します。アレルギー反応で痒みや膨疹がでます。
○ドクガ皮膚炎:茶ドクガの幼虫である毛虫が原因です。
毛虫のトゲが体に触れると強い痒みをともなう赤いブツブツが出現します。
直接触れなくても粉がついただけで同様の反応が起こります。
●やけど・日焼け
やけどは医学専門用語として「熱傷」とよばれ、熱による皮膚や粘膜の外傷を言います。
高い温度の物質が皮膚に一定時間以上接するとやけどとなります。もちろん炎や爆発・熱湯など
の高温でもやけどになりますが、40~55度くらいのそれほど高い温度ではないものでもやけどに
なることがあります。
やけどをすると直後から赤み(発赤)や腫れ(腫脹)が出てきますが、その後は状態により異なります。
やけどはダメージの深さにより1度から3度まで分類されます。
○1度熱傷:皮膚が赤くなるだけで水疱はできません。痕が残ることはありません。
○2度熱傷:水疱や潰瘍を形成します。浅いものであれば色素沈着、深いものであれば傷跡が残ります。
○3度熱傷:皮膚の大部分が壊死します。治療には皮膚移植などを必要とします。
細菌感染を合併したり、糖尿病など基礎疾患があるとやけどの深さが深くなり、治癒するまでに時間がか
かり傷跡が残りやすくなります。
やけどの応急手当としてはすぐに冷やす(やけどした部位を冷却する)ことが最も大切です。熱湯や油の
やけどでも水道水でかまいませんので冷やすことがとても大切です。
冷やすことでやけどの進行を止め、痛みも押さえることができます。アイスノンなどがある場合は冷却し
ながら、できるだけ早く皮膚科の診察を受けてください。
●尋常性乾癬
乾癬は、本来自分の体を守るための免疫システムが過剰に反応することで起こる病気です。
過剰に反応したことで炎症が起こり、皮膚の新陳代謝が早まるため、皮膚症状があらわれます。
皮膚症状は乾癬の代表的な症状ですが、患者さんによっては関節の痛みや発熱・倦怠感などの全身症状が
出ることもあります
乾癬は、患者さんを取り巻く環境や生活習慣、遺伝、ストレスなどさまざまな原因が複雑に絡みあって
発症・悪化します。治りにくい病気ではありますが、これらの乾癬を悪化させる原因を取り除き、治療を
継続することで、長期間症状のない状態を維持することができると考えられています。
●皮膚の良性腫瘍・悪性腫瘍
粉瘤(アテローマ)や脂肪腫は良性腫瘍。
体のどこにでもできコブやしこりとして現れます。
放置しても悪性化しませんが、化膿して腫れ上がると切開が必要です。
簡単な手術で完治します。
悪性腫瘍はイボに見えるものやホクロのように見えるものなど種々あります。
正確な診断が必要ですので不安があれば皮膚科の受診をおすすめします。